♪ フルートのコンサート・メモ ♪
    Memorandum of the flute concerts
 
    トレヴァー・ワイ コンサート「フルート・ファンタスティック!」
    (フルート:トレヴァー・ワイ、倉田 優)

     2008年3月24日 音楽空間ネイヴ(京都市)

      <演奏>

        フルート:
          トレヴァー・ワイ(☆)
          倉田 優 (★)

        ピアノ:
          鈴木 華重子

      <曲>

        ☆★ テレマン:    トリオソナタト短調
         ☆ クープラン:   組曲 「クープランの恋人たち」(チェンバロ作品集から)
          修道女モニカ

          バンドリン
         ★ モーツアルト:  アンダンテ
         ★ ゴーベール:   ファンタジー
        ☆★ K & F ドップラー:「リゴレット」ファンタジー
         ☆ 58のフルート(笛)によるヴェニスの謝肉祭変奏曲


    ● 感想 ●

      トレヴァー・ワイ フルートセミナー2008京都
      に先だって行われた「トレヴァー・ワイのフルート・ファンタスティック!」というコンサートを聴きに行った。

      トレヴァー・ワイさんは、世界で広く使われているフルート教本の著者としてよく知られている方で、私も数冊の教本を使って練習している。
      倉田優さんは、現在、読売日本交響楽団の主席フルート奏者をされている。

      まず、トレヴァー・ワイさんと倉田さんがテレマンのトリオソナタを演奏された。私は、演奏者の指の動きを見たかったので、お二人の正面のすぐ近くに座って聴いていたのだが、特に高音部の音は、倉田さんの音がクリアでよかったように思う。

      次にトレヴァー・ワイさんがクープランの作品を演奏されたが、ワイさんが使われていたフルートは、普通のフルートよりも少し、太くて長いフルートで、「普通のフルートよりも低い音が出るフルートで、良い音がすると思います。」と説明されていたが、実際、ワイさんの音は、低音部の方が柔らかくてよかったと思う。ワイさんは右手の指を結構高く上げて演奏されていたので、近くで聴いていた私には、時々、ワイさんがたたくキーの音が聞こえていた。(もちろん、少し離れて聴いていれば、わからないと思うが。。。)

      続いて、倉田優さんがモーツアルトのアンダンテとゴーベールのファンタジーを演奏されたが、倉田さんの演奏は、ビブラートがたっぷりかかった演奏で、高音から低音部までしっかりとした音が出ていた。この2曲の中では、ファンタジーの方がよかったと思う。

      前半の最後には、ワイさんと倉田さんが、再び、デュエットでドップラーの「リゴレット」ファンタジーを演奏されたが、今回の演奏会の中では、この曲が一番よかった。

      15分ほどの休憩を挟んで、

        58のフルート(笛)によるヴェニスの謝肉祭変奏曲

      が行われた。今回の演奏会が始まる前から、机の上にこの演奏(というよりショーだというとが後でわかったのだが)で使われるいろいろな笛(英語では全部フルート)が置かれ、その上には布がかけられていたのだが、ワイさんが準備をされる様子を見ていると、ヘビの人形とか、ハサミとか、いったい何に使うんだろうと思うものも含まれていた。

      ワイさんは、手に生のニンジンをもって、ピアノの鈴木華重子さんと一緒に登場されたのだが、最初にこれからの演奏(いやショー)で使われるいろいろな笛(フルート)について紹介された。笛の原点ともいえる人骨や動物の角で作られた笛に始まり、一度に2重、3重の演奏ができるように工夫された中世の貴重な笛、巻き貝で作られた笛や中国の笛をはじめ、ワイさんが自作された自転車の空気入れを使って作られた笛や電飾付きの笛など、通訳付きだからこれだけでずいぶん時間がかかってしまった。会場はコンサートホールではなく、広めの会議室のような部屋だったのだが、この夜は少し冷えて肌寒かった。ワイさんが笛について講釈されている間、大きく肩の方があいたドレス着てこられたピアノの鈴木さんは、寒そうに腕を抱えておられて、ちょっと可哀想だった。

      私はフルートを始めて2ヶ月目くらいから、ワイさんの教本を何冊か使って基礎練習をしている。中でも、ムラマツフルートレッスンセンターで使っている「いちばん最初のフルート教本」には、(たぶん日本語に翻訳されているせいで)一部、理解不能なワイさんのジョークがたくさん書かれているのだが、今日の演奏会(&ショー)を拝聴して、ワイさんの性格がよ〜くわかった。教本の中には「本番であがらないためにどうすればよいか」といったことまで書かれているのだが、ワイさんの辞書には「あがる」という文字はないのではないだろうか。ただ、ジョークの中に、下ネタがときどき出てきたのは、いただけなかった。会場には若い女性が多く、小学生らしい子供も来ていたのだから、その辺はちょっと考えて欲しかった。

      演奏はジュナンのヴェニスの謝肉祭変奏曲がベースにはなっているものの、実際にはワイさんが大幅に手を加えた作品になっていて、途中でピアノの名曲が出てきたり、わざとめちゃくちゃな演奏をさせたり、時々、ワイさんがマジックをしたりと、ワイさんとピアノ担当の鈴木さんによるショーの形になっていた。

      今回、演奏に使われた笛(フルート)の中で私がもっとも興味を持ったのは、自転車の空気入れを改造して作られたフルートだった。このフルートは携帯用の空気入れを使って作られており、ポンプのピストンを出し入れすることで管の長さを変化させ、音程も連続的に変化するというもので、これを使ってベニスの謝肉祭のテーマを演奏された。ワイさんが登場された時に、手に持って持ってこられた生のニンジンも、実はこれと同じ発想のフルートを作るために用意されたもので、ニンジンにボーラーで穴を開けて、自転車の空気入れで作ったフルートと同じ要領で音を出して迷(!)演奏された。

      さて、あのヘビの人形もフルートなのかと思っていたら、少し離れた場所で笛を吹き始めたワイさんに合わせて、光を点滅させながら踊り始めた。後ろの方で見ていた人には、よくわからなかったかもしれないが、これはかなり受けていた。

      ワイさんは、紙で作ったフルートも容易していたのだが、これは音が1つしかでない。そこで、どうするのかと思って見ていたら、ハサミを取り出して、紙筒を切って別の音を吹き、さらにハサミで切って・・・というようにして演奏した。いや、なかなかよく考えている。

      会場がいちばんワイた(!)のは、ワイさんが「からだを動かしすぎる演奏者」のために作ったという、電飾いっぱいのフルートを吹いた時だ。このフルートには何カ所かスイッチがついていて、電飾の色や発光パターンを変えられるようになっており、ワイさんがからだを動かすたびに、いろいろな色に光り輝き、さらにワイさんがかけていたメガネのフレームまで点滅し出した時には、爆笑の渦に包まれてしまった。

      ベニスの謝肉祭を演奏しないピアノに怒ったワイさんが、ピストルを取り出して撃つと、爆竹が鳴って風船が破裂するなど、もはやフルートの演奏会とは言い難いものになっていたが、最後はベニスの謝肉祭の最後の変奏曲をしっかり吹かれたところはさすがだった。

      そんな訳で、まじめなフルートを聴きたい人は前半だけで帰った方がいいかもしれないが、たまにはこういうお遊びを楽しむのもいいのではないだろうか。

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